相続放棄と相続分の放棄 なにが違うの??

今回は、相続放棄と相続分の放棄(持分放棄)の違いについて簡単にご紹介します。

本記事では、相続放棄と相続分の放棄という2つの重要な概念に焦点を当て、それらの違いをご紹介します。


1. 相続放棄とは?

 相続放棄とは、故人からの相続を受ける権利を明示的に拒否する行為です。相続放棄をすることで、放棄した者は相続財産に対する権利や義務を一切持たなくなります。相続放棄をすることで、故人のプラスの財産もマイナスの財産(借金)についても、相続しないことになり、そもそも相続人ではなかったものとみなされます。

 

メリット

(1)債権者に対抗できる(故人の借金を相続しなくてよい)

(2)他の相続人を気にせず、自身意思で相続放棄の手続きが可能

 

注意点

(1)家庭裁判所での手続きが必要

(2)相続の開始があったことを知った時から3か月以内に手続きが必要

(3)相続人の順位に変動が起きる可能性がある

(4)生命保険等の非課税枠が受けられない


2. 相続分の放棄(持分放棄)とは?

 相続分の放棄とは、相続人が自分の相続分を放棄することを指します。通常、相続分は法定相続人に対して法律で決定されてた割合です。相続人はこの持分を放棄する権利を持っています。相続分の放棄した場合でも、相続人としての地位はそのままです。

メリット

(1)家庭裁判所の手続きが不要

(2)手続きの期限がない

(3)相続人の順位に変更がない

(4)生命保険の非課税枠が適用される

 

注意点

(1)債権者に対抗できない(故人に借金がある場合、借金を相続することになる)

(2)遺産分割協議が必要になる


まとめ

 相続放棄と相続分の放棄は、似た言葉ですが、内容は異なります。

 今回の記事では、詳細な手続き方法などには触れていませんが、それぞれの違いを理解し、具体的な状況に応じて適切な選択をすることが、円滑な相続手続きを進める鍵となります。

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相続と絆の証明 - パートナーシップ宣誓制度の重要性と課題

 今回は、相続に関する特別な側面に焦点を当て「パートナーシップ宣誓制度」と「相続」についてお話ししたいと思います。

 相続と言えば、遺産の分配や法的手続きが頭に浮かびますが、一緒に生活し、絆を築いてきたパートナー同士の相続はできるの?パートナーシップ宣誓制度と相続についてご紹介します。

この記事では、パートナーシップ宣誓制度の基本から、相続手続きにおける役割、実際のケーススタディまで、包括的に探っていきます。ご自身やご家族、友人との関係において、これがどれほど重要かを理解し、今後の人生の計画に活かしていただけると幸いです。

目次

パートナーシップ宣誓制度とは

パートナーシップ宣誓制度は、カップルやパートナーシップ関係にある人々が、パートナーシップを証明し、相互の権利と責任を明確にするための制度です。この制度は、結婚ではなく、パートナーシップに基づく関係に適用されます。

 パートナーシップ宣誓制度は、同性カップルや非婚のパートナーシップ関係にある人々が、法的な保護と認知を受ける手段として導入されました。結婚と同等の法的効力を持たせることで、パートナーシップ関係にある人々の権利と責任を保護し、社会的に認知されるようになります。

対象者の要件と手続きの方法(福岡市の場合)

次の全てに該当する。一方または、双方が性的マイノリティの2人。

・双方が成人であること

・一方または双方が市内に住所を有してる、または市内への転入を予定していること

・双方に配偶者がいないこと及び他にパートナーシップの関係がないこと

・双方の関係が近親者でないこと(パートナーシップに基づく養子縁組は除く)

宣誓の方法(福岡市の場合)

(1)宣誓する日時を事前に予約(福岡市役所)

(2)必要書類を揃え、予約した日時に2人で市役所へ

(3)市職員の面前で宣誓書記入

(4)宣誓書の写しと宣誓書受領書の交付

※必要書類:住民票の写し・独身証明書

パートナーシップ宣誓制度のメリット

・病院の付き添いなどで家族として扱ってくれる

公営住宅などに家族として入居できる

・生命保険の受取人に指定できる

・携帯電話契約などの際に家族割引が適用される

・住宅ローンが適用される場合がある

パートナーシップ宣誓制度の課題

・パートナーシップ宣誓制度を導入していない自治体がある

配偶者控除を受けられない

・親権を持てない

・遺族給付金を受給できない

パートナーシップ宣誓制度 最大の課題

法的に婚姻として認められない

・パートナーは法定相続人になれない

・生命保険金の非課税枠を使えない(500万円×法定相続人=非課税)

実際の事例

 死別した同性パートナーの火葬への立ち会いを拒否され、二人で築きあげた財産を相続できなかったのは不当だとして、大阪府内の男性が親族に慰謝料700万円の支払いと財産引き渡しを求めていた訴訟した事件がありました。

背景

 男性は長年亡きパートナーと同居しており、二人は男性が実質経営する事務所の収入で生活していました。名義としては亡きパートナーが事務所の代表者になっていましたが、実質的には男性が働いて生計を立てていました。

男性の主張と親族との争い

 男性と亡きパートナーは、相互に財産を相続できるよう、養子縁組の手続きをすることを約束していました。しかし、手続きを開始する前、2016年3月にパートナーが突然亡くなりました。

亡きパートナーの親族の女性(妹)は、同居する二人の関係を一度は理解しているように見えましたが、死後に態度が一変し、葬儀で家族の席に座ることや火葬への立ち会いを拒否しました。また、夫婦同様に長年連れ添ったことに対しても「何の意味もない」との発言がありました。親族女性の代理人弁護士は「あなたには何の権利もない」と主張し、さらに、パートナー名義の通帳を持ち出したり、事務所の廃業通知を勝手に取引先に出したりして、事業が続行できない状況を招き、男性は多大な精神的苦痛を受けました。

裁判と判決

 男性は、亡きパートナーの親族女性に対して慰謝料700万円の支払いと、亡きパートナーが生前に約束した財産の引き渡しを求めて、大阪地裁に訴えを起こしました。

 一審判決が大阪地裁で下されましたが、裁判長は、亡きパートナーが同性愛者であることを親族に隠していたことを指摘し、親族は男性について「(亡きパートナーが)雇用している従業員で、同居の居候と認識していた」と主張し、夫婦同様の関係にあるとは認識されていないと判断しました。男性側は、生前に財産贈与の合意があったとも主張したものの、裁判長は「男性の供述以外に証拠がない」として、合意の成立を認めず、男性の訴えを退けました。

 男性は判決を不服とし控訴しましたが、今回の二審判決で、大阪高裁は一審の判決を支持し、男性の訴えを棄却しました。

パートナーシップ宣誓制度と相続と終活対策

前述した通り、パートナーシップ宣誓制度には婚姻のような法的効力はありません。

そのためパートナーには相続権などがありません。大切なパートナーの生活を守るための対策をご紹介します。

死因贈与の契約を締結する

・遺言書を作成する(パートナーに遺贈や遺言執行者の指定)

・養子縁組をする

・生命保険の活用

・任意後見契約を締結しておく

・家族信託(民事信託)を利用する

まとめ

今回は「パートナーシップ宣誓制度」と「相続」に焦点を当てました。

パートナーシップ宣誓制度について基本的な情報を紹介し、そのメリットと課題点を検討しました。制度のメリットは、病院での付き添いや公営住宅への入居など、家族としての権利を増やす点です。一方、制度の普及が進んでいない地域や法的制約による課題もあります。 相続や終活対策を考える上で死因贈与や遺言書の作成、養子縁組、生命保険の活用、任意後見契約、家族信託などの対策をご紹介させていただきました。大切なパートナーと安心した共同生活を送るためには事前準備をすることが大切です。皆さんが幸せな生活を送り、将来に備えられるよう願っています。

 私は福岡県の相続・終活専門の行政書士です。パートナーシップ宣誓制度を含む相続や終活に関するサポートをしています。初回の相談は無料ですので、遺言書の作成や終活についての相談、何から始めていいかわからない方はお気軽にお問い合わせください。

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デジタル資産と相続

 今回はたくさんの人が利用しているデジタル資産と、そして、相続手続においても、デジタル資産を含めることで複雑さが増す現代の課題に焦点を当て、デジタル資産と相続手続きについてご紹介します

デジタル遺産

目次

デジタル資産とは

・ネット銀行(オンラインバンキング)の預金

・キャッシュレス決済サービスの残高(PayPayなど)

・株式、投資信託、FX(オンライン取引)

・仮想通貨

上記のようなネットワーク上の無形の資産のことを言います。デジタル資産は、相続財産の対象となるため【デジタル遺産】とも呼ばれています。

デジタル資産と相続

 デジタル資産は、私たちの生活を便利にし、スマートフォンやパソコンを使って取引を迅速かつ簡単に完結させることができます。さらに、個人情報の安全を守り、取引の秘密を家族や第三者から隠すことも可能です。

しかし、この便益にはデメリットも伴います。デジタル資産の所有者が亡くなった場合、その存在を家族や相続人に伝えることは非常に難しいです。このような状況は、相続手続きを複雑にし、遺産分割を困難にします。

デジタル遺産の存在がわからなかった場合の影響は?

 デジタル遺産が亡くなった後に発見される場合、相続手続きには重大な影響が出てきます。この遺産は無形のため、その存在を認識し、適切に処理することが複雑です。

(1)遺産分割の遅延:デジタル遺産の存在が不明なまま相続手続きが進むと、遺産分割の遅延や再度遺産分割協議を実施する必要がでてきます。遺産の正確な評価と分配を行うためには、すべての資産が明らかであることが必要です。

(2)税金の未納:デジタル遺産に価値がある場合、それに関連する税金を納めなければいけません。存在が不明なままでは、適切な税金の評価と納付が困難となり、法的なトラブルの原因になります。

(3)相続人間の対立:デジタル遺産の存在が不明である場合、相続人間の対立が生じる可能性があります。遺産分割によるトラブルは、家族の関係を損なう要因となります。

すぐにできる対策

(1)自分の資産状況を把握しておく

・どの金融機関に口座を持っているのか

エンディングノートを記入する

・遺言書を作成する

デジタル資産のIDやパスワードも記載しておくと更に良いです。

※IDやパスワードの管理には十分ご注意ください。

 

(2)資産を整理する

デジタル資産を相続人に相続させるかどうかを検討し、手続きが難しそうな場合には解約や現金化することも検討しておきましょう。

まとめ

 このデジタル時代において、私たちの生活はデジタル化の波に包まれています。そして、このデジタル化は相続においても新たな課題があります。デジタル資産も通常の財産と同じように大切に考える必要があり、適切な準備をしておくことが重要です。

 デジタル資産の範囲は広く、それぞれが異なる特性を持っています。メリットとデメリットを理解し、遺産としてどのように扱うかを検討することが重要です。また、デジタル遺産が見つからない場合の影響も考慮しなければなりません。

 遺言書やエンディングノートを作成し、資産の整理を行うことは、相続手続きをスムーズに進めるための大切なステップです。

 私は福岡県の相続・終活専門の行政書士です。デジタル資産を含む相続に関するサポートを提供しています。初回の相談は無料ですので、遺言書の作成や終活についての相談、何から始めていいかわからない方はお気軽にお問い合わせください。

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自筆証書遺言が無効になるケースとは?

自筆証書遺言、万全の準備をしているつもりでも、無効になるケースが存在します。

皆さんの遺言がしっかりと有効になるために、知っておくべきポイントを探りましょう。

目次

 

1.遺言書は誰でも作成できるの?

遺言書は誰でも作成できるわけではありません。

遺言書を作成するには【遺言能力】が必要です。

では【遺言能力】とは?

(1)15歳以上であること

(2)意思能力(判断力)があること

認知症精神疾患等で意思能力が低下していたり、ない場合は遺言書を作成しても【無効】になってしまう場合があります。

 

2.遺言の種類

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

 

本日は(1)の自筆証書遺言が無効になるケースをご紹介していきます。

3.自筆証書遺言とは

遺言を作成する人(遺言者)が財産目録を除く全文を自筆で書く遺言書のことです。

4.遺言書でできることは?

・相続分の指定

・遺産分割の指定

・遺贈

福祉施設や団体への寄付

・遺産分割の禁止(5年以内)

婚外子の認知

・相続人の廃除

・生命保険金受取人の変更

・遺言執行者の指定

・未成年後見人の指定  など

5.自筆証書遺言のメリットと注意点は?

自筆証書遺言のメリット

(1)作成場所を選ばない(ご自宅・病院・施設等)

(2)証人や立会人が不要(遺言内容を第三者に知られることがない)

(3)遺言者(作成者)の好きな場所に保管できる。

(4)費用がかからない

 

自筆証書遺言の注意点

(1)遺言内容が法的に有効であるか。

(2)遺言書の形式的不備。

(3)保管場所を失念。

(4)第三者による変造・破棄される恐れがある。

(5)家庭裁判所の検認手続きが必要

 

自筆証書遺言では注意点(1)と(2)が多いです。

6.自筆証書遺言が【無効】になるケース

(1)全文が自書されていない

   例外的に財産目録はパソコン等で作成しても有効です。(署名・押印は必要)

(2)日付がない

   自書の日付が無い場合、遺言書は無効となります。

(3)押印がない

   自筆証書遺言の場合の押印は実印・認印・拇印でも可能です。

(4)遺言書が複数人で作成されている

   夫婦などでの共同遺言が禁止されています。

   連名で作成すると無効となります。

(5)訂正方法に不備がある。

   遺言内容を訂正方法するが決まっています。

(6)複数の遺言書が存在する場合

   遺言書が複数あり、内容が矛盾している場合は、古い日付の遺言書の矛盾部分は

   撤回されたことになります。

(7)遺言能力がない場合

   遺言書の作成時には遺言能力があることが必要です。

   しかし、遺言書作成時に認知症精神疾患などで遺言能力がなかったと認められ   

   ると、遺言書が無効であると判断される場合があります。

 

7.まとめ

これから遺言書を準備する人、既に準備している人は大丈夫でしたか?

せっかく遺言書を作成するからには、ぜひ有効な遺言書を!!

 

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相続した土地の管理や税金支払に困っていませんか??

令和5年4月27日に始まった、相続土地国庫帰属制度についてご紹介します。

 

 この制度は相続人が遠方に住んでおり、相続した土地を利用する予定がない、管理や固定資産税などの負担が大きいといった理由で、土地を手放したい相続人が増えていることから作られました。

また、将来【所有者不明の土地】が発生することを予防する為に【相続土地国庫帰属制度】が創設されました。

 

1.土地の相続

 土地を相続した際には以下の方法が考えられます。

 

(1)相続する

 土地を相続することによって、相続人ご自身が売却などの処分を自由に行うことができます。

 

(2)相続放棄

 被相続人(亡くなった人)の相続財産が積極財産を消極財産が上回っている場合や、土地の売却ができず、管理費や税金の負担が大きいため、相続放棄をする選択をされる人もいます。

 

(3)相続放棄の注意点

・相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てが必要。

被相続人(亡くなった人)の権利や義務を一切受け継ぐことができない。

 そのため、不要な財産だけではなく、すべての資産の相続権がなくなります。

 

2.相続土地国庫帰属制度とは

 国は、これ以上、所有者不明の土地を増やしたくない!

相続人が使わない土地を管理せずに放置して、将来所有者が分からなくなる事を防ぐために、使わない土地であれば、国に引取ってもらえるという制度です。

 

3.制度を利用する要件は?

 国に土地を引き渡すには、いくつかの要件があります。

 

(1)申請の段階で却下される土地(却下事由)

・建物がある土地

・担保権や使用収益権が設定されている土地

・他人の利用が予定されている土地

・特定の有害物質によって土壌汚染されている土地

・境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

 

(2)申請しても承認されない土地(不承認事由)

・一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分の費用・労力がかかる土地

・土地の管理・処分を阻害する有害物質が地上にある土地

・土地の管理・処分のために、除去しなければならない有体物が地下にある土地

・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

・その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

 

4.費用は?

・審査手数料:1万4,000円(1筆)

・10年分の土地管理費相当額:20万円(1筆)

 同種目の土地が隣接していれば、負担金の合算を申出可能。2筆以上でも負担金は20万円が基本となります。

※一部の市街地の宅地、農用地区域内の農地、森林などは面積に応じた負担金が必要になります。

 

5.手続きの流れは?申請先は?

(1)法務局に相談

(2)申請書類・必要書類の作成・提出【法務局に提出】

(3)負担金の納付(承認後)

 

 令和6年からは【相続登記義務化】も始まります。

相続した土地は責任をもって手続きをしなければいけなくなりました。

相続は専門的な知識が必要になる場合が多いです。心配な方は、お近くの専門家の

無料相談などを利用してみると良いかもしれません。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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生命保険金受取人の予備的変更とは?

 離婚や保険金受取人の死亡などの事情により保険金の受取人を変更したい場合

基本的には保険会社に連絡をして変更手続きすることが一般的です。

しかし、遺言書によって生命保険金の受取人を変更することができます。

この記事では、そのメリットと注意点をご紹介します。

1.遺言書で生命保険金の受取人を変更するメリットは?

 生命保険金の受取人が保険事故(保険金支払)の前に亡くなった場合、保険金受取人変更の手続きを行います。しかし、その時に契約者が認知症などにより行為能力がない場合、受取人変更手続きはできなくなります。

 そこで受取人が先に亡くなった場合に備え、その次の受取人になる人を指定しておくことで、亡くなった際の保険金の受取手続きが円滑に行えるなどのメリットがあります。

2.予備的変更の方法は?

その方法とは・・・遺言書で予備的変更する旨を記載します

 遺言書は民法に基づいて作成しなければなりません。せっかく作成しても、「無効」になる場合もあります。予備的変更を検討している方は専門家に相談しることをおすすめします。

【遺言書の記載例】

遺言書

第1条(保険受取人の変更)

 遺言者は、下記の生命保険契約について、死亡保険金受取人を、遺言者の妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)から、長男〇〇(平成〇年〇月〇日生)に変更する。

 

①証券番号  123456789

②契約締結日 令和〇年〇月〇日

③保険者   〇〇生命保険株式会社

④保険契約者 遺言者

⑤被保険者  遺言者

⑥死亡保険金受取人 妻〇〇

 

第2条(保険金受取人予備的変更)

 遺言者は、前条の生命保険契約について、変更後の死亡保険金受取人となるべき長男〇〇が、遺言者に先立って、又は遺言者と同時に死亡したときは、この生命保険の死亡保険金受取人を、長男〇〇の長女である〇〇(令和〇年〇月〇日生)に変更する。

 

【注意点】

①変更前の受取人に生命保険金が支払われる可能性がある。

②相続人以外の第三者が受取人に指定されている場合、新旧の受取人間でトラブルにな     

 る可能性がある。

③平成22年4月1日以前に締結した保険契約については、遺言書による受取人変更について保険法が適用されません。遺言による受取人変更する際は、事前に保険会社に確認しておくことが必要です。

④遺言書が無効の場合、受取人を変更できない可能性がある。

 

その他にも遺言書には様々なルールがあります。

詳しい作成方法やルールについては、お近くにの専門家に相談することをおすすめします。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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この点に注意!!遺言書作成のポイント

今日は、遺言書作成において大切なポイントを紹介します。

 

 

作成して満足しない

遺言書の内容をよく考える

遺言書の保管場所

遺言執行者

 

 

①作成して満足しない

遺言書を作成することが目的になっていませんか??

遺言書を作成する本当の目的は、ご自身が亡くなった後に遺言内容が

確実に実行されることです。遺言内容が確実に実行されるためには

作成内容や保管場所を考える必要があります。

 

②遺言書の内容をよく考える

相続人間でトラブルにならないように法律や税務についても、きちんと考えておく

必要があります。書いた内容や書き方によっては「無効」になる場合もあります。

確実に遺言内容を実現するためにも専門家に相談することをおすすめします。

 

③遺言書の保管場所

せっかく遺言書を作成しても、相続人がその遺言書の存在について知らなければ

意味がありません。

そのため、遺言書の保管場所は非常に重要です。

多くの場合、【自筆証書遺言】か【公正証書遺言】で作成されます。

公正証書】の場合、原本は公証役場で保管してくれるので、変造や破棄の

心配がありません。それに対して

【自筆証書】の場合、ご自身の好きな場所に保管するため、第三者による変造や

破棄される恐れがあります。どこに保管しておくか、事前に保管場所を

誰に知らせておくか等を考えておく必要があります。

ここでは触れませんが、法務局が遺言書を保管してくれるサービスもあります。

 

④遺言執行者

【遺言執行者】とは・・・

遺言内容を実現させるために様々な相続手続きを行う人です。(銀行手続きなど)

円滑な相続手続きを進めるためにも遺言執行者を指定しておいたほうが良いでしょう。

遺言執行者は財産管理や法律の知識が必要になります。そのため

知識が豊富で相続人に対して中立な立場の人が適任と言えます。

(相続の専門家や金融機関など)

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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